|
「私は戸じまりしてから行きますから、これは保険証とかと・・・お金もいくらかはいっています、着替えとかその辺は心配しないでください、ユーサク君・・落ち着いて・・お父さんは大丈夫だから・・私はすぐ駆けつけますからね」 村田さんが玄関で何かカバンを持たせてくれた。 それと携帯と持ってオレは親父を乗せた救急車に乗り込み病院に向かった。 救急車の中では隊員の人が受け入れ先の病院を探している。 「45歳男性、自宅でこん睡状態、外傷なし、意識レベル・・・」 早口で親父の症状を伝え、病院を探している・・・ もう一人の隊員の人が「息子さんですね?お父さんは持病がありますか?」 「いえ・・ないと思います」 「最近体の不調を訴えるようなことはありましたか?」 「いえ・・・ないです」 おれはちっちゃい担架みたいなベッドで真っ蒼な顔をして固定されている親父を見ながら(親父・・オレ・・親父のことなんも知らねーよ・・)と思った。 受け入れ先が決まり、搬送されたのは佳樹の親父さんの病院だった。 親父は集中治療室に運ばれ、俺は廊下の椅子でへたり込んだ。 何なんだよ…一体・・・わけわかんねーよっ・・・ 脳梗塞とか脳溢血とか心不全とか心筋梗塞とかもういろんな縁起でもない言葉がぐるぐる出てくる。 「ユーサクッ」 佳樹がジャージで駆け付けた。 「病院から連絡あったから・・・・」 「あぁ・・・わりぃな・・・おまえんちの親父さんが診てくれてるから・・・」 「そっか・・・大丈夫だ・・・オレの親父はあー見えて名医だから・・」 「だよな・・・」 「ユーサク」 「ん?」 「親父さんはゼッテー大丈夫だから!」 「ん」 パタパタパタ・・・病院の廊下を全力疾走してくる人がいる・・・ 「ユーサク〜〜」 マスターだ・・・・ 「はぁはぁはぁ・・・・おっおっお親父さんは?」 マスターは一体どこらへんから走ってきたのか、ぜいぜい言ってる。 「いま、ここん中です」集中治療室をさす。 「ゼィゼィ・・・・ユ・・・ユーサク・・・はぁはぁ」 おっさんだからなかなか回復しない。 「はい」 「おっ・・おめーみたいな…野菜嫌いの・・・ガキんちょ残して・・お・・・親父はいかないから心配するなっはぁはぁ」 「わかってます」 「あと・・・・はぁはぁ・・・今月の支払い・・・・まっまだだから・・・絶対に死なせない・・・ゼイゼイ・・・」 「はい・・・・」 本気なんだか冗談なんだか・・・たぶんどっちも本気だろう。 「ユーサク君」 「あ・・・村田さん」 「これ・・・着替えとかいろいろ・・・それから玄関はロックボタン押しときましたから」 「ありがとうございます」 「それで・・・症状は・・・」 「いや・・・まだ・・・」 と言いかけたとき、ランプが消えてドアが開いた。 佳樹が「親父っどうなんだよっ」と詰め寄る。 「ユーサク君・・・・・」 「はい・・・」 なんか・・怖くて仕方がない・・・・ 佳樹の親父さんはマスクをはずしてにっこり笑うと 「大丈夫だよ、まだ眠っているが・・今日中に意識も戻るし・・・安心しなさい」 「ほ・・・ほんとに・・・??」 みんながいっせいに安堵のため息を漏らす。 「親父の…病気は…なんだったんですか? 」 「あぁ…軽い・・心筋梗塞だったよ・・ごく軽いね。だから切らずに行けたから入院も短くて大丈夫だろう 多分、発作が起きて直後に発見されたんじゃないかな?発見が早かったからよかったよ」 「よかった・・・・」 「親父・・・」佳樹がしんみりという。 「ん?」 「オレ・・・やっぱ・・・医者になるわ」 「ハハハ・・当てにしないで聞いとくよ」 「ユーサク君、あとは佳樹に案内してもらって個室に行っとけばいいよ。君も泊まれるようにしとくから、なんならうちに泊まればいい」 「あ・・・すみません」 オレはマスターと村田さんに礼を云い、とりあえず個室に行こうとした。 「あ…そういえば」 村田さんが急に 「あの・・・あさみさんという女性の方からお電話ありましてね、私ったらあわてて・・今救急車で狭山総合病院に運ばれましたって言ってしまったらものすごく驚かれて・・・」 「浅海って・・てめー栞さんが何でテメーに電話かけてんだよっ」 さっきまで熱い友情に結ばれていた佳樹が鬼の形相で凄む。 「あ・・・まぁ・・・ていうか・・」 「まさかっまさかユーサクてめー」 「いや、まだなんもしてねーし」 「なんだよまだって なんかこの先の展開があるのかよ」 「いやぁ・・まぁ・・・」 「二人とも・・・ここは病院だから…とにかく個室に行きなさい」 佳樹の親父さんにたしなめられて、俺達はすごすごと個室に向かった。 長い廊下を歩いてる時も佳樹は「この抜け駆け野郎」だの「変態すけこまし」だのさんざん悪態をついてきた・・・が・・・オレはそんなことより、栞さんが病院に運ばれたのがオレだと思って必死になって今ここに向かってるんじゃないかと思うと・・・胸がドキドキしてきた。 泣いている栞さんが、この個室でオレと劇的再会を果たしたら、きっと盛り上がって・・・・・ 親父には悪いけど・・・それまで目を覚まさないでいてくれ・・とか、とんでもないことを考えていた。 佳樹はそんなオレを見て益々ヒートアップし、オレもここに泊まるからとか言い出した。邪魔をしたいのだ。 どんなルートを使ったのか親父はすでに個室に寝かされ、少しだけ青白い顔をして寝ていた。 いろんなチューブがついてほんとの病人みたいで痛々しい(ほんとの病人だけど) ほんとに死ぬかと思ったあの恐怖・・・今更ながら震えてくる。 家族を亡くすって・・・こんなに・・こんなに怖いものなんだ。 「カツカツカツカツ」 また誰か病院の廊下を全力疾走してくる・・・・ もしかして・・・ おれは個室のドアを開けて廊下を覗いた。 栞さんが泣きながらオレを見た・・・・ そしてこっちに向かって走ってくる・・・ 「ユーサク君・・・」 「栞さん・・・・」 「お父さんは?」 「は?」 「中?」 「へ?」 そう言ってオレの横をするりと通り抜けて、中に入ってオヤジの顔を見て、親父の手を握り・・・その手に口づけしながら・・・ 「建治さん…建治さん・・・起きて・・・ねぇ起きて・・・栞よ・・・建治さん・・・・・・」と言いだした。 「う・・・・」 「建治さんっ?!」 「栞・・・・?」 「建治さん・・・・」 「・・・・・・う・・・」 「よかった・・・よかった・・・」 そのまま栞さんが泣き出して、親父がゆっくりと栞さんの髪を愛おしそうになでて・・・・・・ は???ちょっと展開についていけないんすけど・・・これってどういうこと? ・・・・・・・・・・・・オレは多分、この病室で一番真っ青な顔をして立ってたと思う・・・・・・・・・・・・・・ ポンポン・・・肩を誰かたたく・・・佳樹だ・・・なんだこいつ…わかった顔してうんうん頷いて・・・ 「ユーサク・・・いいから今日はオレんち泊まれ・・・そしておれのとっておきのDVDを見せてやるから・・・」 「・・・・・・・」 「いや、やっぱり外人はすごいぞっいろんな意味で・・・」 「・・・・・・・・」 「なんだ・・・日本人がいいならそう言えよ・・・誰のがいいんだ?」 「・・・・・・・・」 ♪〜♪〜 オヤジが調子こいて栞さんの耳元でハミングしている・・・静かな病室にとぎれとぎれにやさしく流れる・・・ あっこの曲は・・・風呂場で親父が嬉しげに歌っていたあの曲だ・・・・ 「佳樹…なんつったっけこの曲・・・・」 「ん?これ?サザンの栞のテーマだろ」 くそおやじっ・・・・・そういうことかよっ!!! てめーら二人で勝手にやってろ〜〜 「・・・・・・佳樹・・・」 「なんだ?」 「外人でお願いします」 「まかせろっ」 妄想劇場「THE 波乗りレストラン」〜栞のテーマ〜おわり 長いの読んでくれてあざーすっ(ぺこり) そして次は〜BOHBO No5編〜へ続きます。 続くんだ??とかいわない。 |
| << 前記事(2008/10/08) | トップへ | 後記事(2008/10/10)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/10/08) | トップへ | 後記事(2008/10/10)>> |