|
「・・・さん?・・・さん?」 ・・・・・だれか遠くで呼んでいる・・・ 「建ちゃんってば」 「うわっ」 急に真後ろから大声で声をかけられ飛び上るほどびっくりした 「きみ・・・」 「おっひさ〜」 信じられないことに、亡くなったあいつが立っていた・・・いつの間にか雲ひとつない青空の下、青々とした草原に二人で立っていた。 「えっ・・・・君・・・がいるってことは・・もしかして俺・・死んだのか?」 「あー違う違う、私が会いたいから来たのよ」 「そ・・・そんなこともできるのか?・・・ていうか、君ちょっと若返ってないか?」 「ほんとに?やだ〜うれし〜」 生きていたころと全く変わらない、ひまわりみたいな笑顔でほほ笑む彼女を見ていたら不思議と怖いとかいう感覚ではなく、懐かしい気持が込み上げてきた。 「これは夢なんだよな?」 「そうだよ・・・もう何回もこうやって会ってるんだよ」 「ほんとに?何回も?全然覚えてないや」 「ウフフ・・そういう風になってるんだもん、だから誰でもみんな覚えてないよ」 「そうなのか?」 「あのさ、ユーサクおっきくなったね」 「あぁ・・・もうすぐ18歳だからな」 「あなたの若い時にそっくり」 「俺に?そうかなぁ・・」 「そっくりよ・・・かわいいなぁ・・・そうそう、今日はね、私とはもう会えなくなることを言うために来たのよ」 「会えなく・・・?どっかいくのか?」どこに行くというのだ・・・我ながら馬鹿な質問だ。 「そっ・・そういうこと・・・あ〜もう建ちゃんの泣き顔見れないや」 「俺の泣き顔?」 「フフフ、建ちゃんはいつも私に会うときは泣いてるよ」 「いや、そんなことは・・・」 「あのね、あなた・・・私が死んでから一回も泣かなかったでしょ?」 「・・・・・・・」 「頑張ったんだよね・・・でもさっ人間てね、そんなに強くはできてないのよ」 「・・・・・」 「泣けない人はね、夢の中でだけ泣くの・・・自分を愛してくれる人の胸に抱かれていっぱい泣くのよ」 「そんなこと・・ほんとに覚えてないよ」 「うん、起きると忘れるようになっているもの・・・」 「じゃあさ、変な話・・・君がいなくなれば俺はどうなるの?」 「いやだなぁ・・・建ちゃん、もう・・ちゃんと愛してくれる人がいるじゃない?」 「…浅海君?」 「うん、だからもう私はお役御免・・・・・幸せになってね・・・・またいつか会えるかもしれないからね・・・」 まん丸の笑顔で微笑むあいつ・・・俺にはわかる・・・これは泣くのを我慢している笑顔・・・切なくて・・思わず抱きしめた。 「建ちゃん…元気でね、ユーサクお願いね・・」 花の香りがする彼女を抱きしめながら・・・俺は泣いていた。 本当だ・・・こんなにも簡単に涙が出る・・・嘘みたいに涙が出る・・・ 不意に彼女が体を離す・・そして小さい子供にするみたいに俺の頭をヨシヨシと頭をなでて 「じゃあね・・・バイバイ・・・幸せになってねっ」と言って俺の額を指でパチンっとはじいた。 「いてっ」・・・・ びっくりして目を開けると・・・彼女がいた・・・あれ・・・?なんで・・・彼女が俺の部屋にいるんだろう・・・・ かなり至近距離にある彼女は薄茶色のきれいな瞳から大粒の涙を流し俺の手を握って頬に当てていた・・・ 「建治さん?」 う・・・・思うように声が出ない・・・しかも色んなところが痛い… 「建治さん?」 「う・・・」 「あぁ・・」そう言ったまま彼女は突っ伏して泣き出してしまった。 状況がわからず、眼だけを動かして周りを見たらユーサクがいた・・・ものすごく顔色が悪い・・・ その横に佳樹君がいる・・・こっちはなぜか嬉しげだ・・・・ ここはやっぱり病院なのか? 俺は倒れたんだろうか? いろいろと考えながらとにかく体を動かそうとした。 空いている手を少しずつ動かして・・・彼女の頭をゆっくりなでた・・・ 彼女は俺の顔の下で泣き続けながら、小さい声で「よかった・・・よかった・・・」とささやいていた。 なんか大事な夢見てたような気がするんだけどなぁ・・・まったく思いだせない・・・ 俺は何度も何度も彼女の頭をなでながら・・しわがれた声であの曲を歌った。 とぎれとぎれになりながらも、静まり返った病室に心地良いハミングが流れて・・彼女の涙が止まりますようにと願いを込めて・・俺は歌った。 なにか・・・少しだけ…ぽっかりとした寂しさが・・・あるような気がしたけど・・・とにかく俺は生きている。生きている。 彼女が少し落ち着きを取り戻し、俺の顔を見つめている。 「建治さん・・・おでこが赤くなってる・・・」 「ん・・・」 「なんか…桜の花びらみたいな綺麗な形・・・」 (へぇ・・・さくらかぁ・・・・あいつの名前と一緒だ・・・もしかして・・咲良が死にかけた俺を助けてくれたのかなぁ・・・・)とか考えた。 エピローグ・・・・ ドクターが言う通り、意外と早く退院はできた。 そして、今日は初めて仕事に行く。 いつまでも休んでられないというのもあるし、S市の公園の締め切りが迫ってきているというのもある。 事務所に着くと森口が一人で仕事をしていた。 「おはよう」・・・おれはできるだけ元気よく挨拶をした。 「所長〜っ大丈夫なんすか?」 「ああ・・・いきなり百パーセントは無理だが・・・すぐになれるさ」 「そんな・・・無理しないでくださいね、俺達みんなで超ハッスルマッスルでやっちゃいますから」 「頼もしいな」 そこへ遅れて今井君が入ってきた。 「すみませ〜ん・・・私が一番最後ですか?」 「俺もまだ今来たところだよ」 「せんぱい・・・なんかお久しぶりです・・・ちょっと見ない間に・・」 「なによっ何か文句あるのっ」 「こえ〜っ・・・」 「さぁ、それじゃあ見せてもらおうか」 「あ・・・・はい・・・・じゃじゃ〜〜んっこれです」 「・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 あまりの長い沈黙に、森口は顔の前に出したものを引っ込めて二人の顔を見た。 「せっ・・・・・・先輩・・・・どうしたんすか? おなかとかいたいんですか?」 「・・・・・・・森口君」 「ひっ・・・・・こえ〜・・・なっなんすか????」 「あんた天才だわ」 「は?」 「所長どう思われますか?」 「いや・・・なんというか・・・・・言葉にならないよ・・・・」 「名づけてっ・・超ハピネス公園っ」 「・・・・・いや、あんた・・・それはないと思うわ」 「何でですかせんぱ〜い」 「名前は先方が決めるから」 「そうなんですか?」 「公共物だから公募とかでね」 「へぇ・・・なんだぁ」 「公募なら君も応募したらいいんじゃないのか?」 「あっさすが所長っ超頭いいっすね〜」 「木は残せたんだな・・・」 「あ、はい、樹医さんといろいろ調べてまだまだ行けるってことがわかりましたんで・・・」 「よかったな」 「はい、僕はこれで恩返しできたかもしれないっす」 「そうだな・・・」 「僕をあの過酷な状況から救ってくれた大切な木ですからね・・・生まれ変わったこんなハッピーな公園に誰も赤ちゃんなんかポイッと捨てられないはずですよ」 「あのさ・・・・」 「なんすか?せんぱい」 「あの…こんなこと言うの…いいのか悪いのかわかんないんだけどさ…あんたのお母さんさ…なんかものすごい事情があったのだと思うのよ・・・」 「なんすかそれ?」 「いや・・・わかんないんだけどさ…あんた雨降ってたって言ってたじゃない?あたしやっぱりやけに気になってその日の天気調べたのよね、そしたら雨なんて全然降ってなかったのよ」 「でも・・僕確かに覚えてますよ、自分の顔にポタポタいっぱい降ってきましたもん」 「…これはほんとに想像なんだけどね、たぶんあんたのお母さん・・泣いてたんだと思うな・・・抱っこしてぽろぽろ泣いて・・・それが抱っこされたあんたの顔にポタポタ落ちていたんじゃないのかな・・・」 「・・・・・・・・」 「そりゃね、ものすごい悪いことだよ・・子供を公園に捨てるなんてね・・だけどさ、決してぽいっなんて簡単に捨ててないよ・・・つらくてつらくて・・いっぱい泣いて・・・それでもどうしても事情があったのかも知れないじゃない」 「どんな事情ですか?・・・赤ちゃん捨てるなんてどんな事情ですか?」 「いや・・・それはちょっと分かんないけど・・・例えばっ・・・たとえば・・・悪の組織から狙われていたとかさ・・・」 「・・・・せんぱい・・・・なんか発想の日付が昭和ですよ・・・なんか昔の日活映画でも思い出したんすか?」 「う・・・うるさいっ・・・つまりあれよっ、あんたのお母さんは・・ちゃんと暖かい日に木陰を選んで置いていったんだと思うのよ・・助かりますようにってさ・・」 「・・・・・・せんぱい・・・慰めてくれてるんですね」 「ちっちがうわよっ・・あんたが何か変に勘違いしてないかなとか思ったから・・・」 「せんぱい・・・」 「なによ」 「…もしかして僕を生んだのは・・・せんぱい?」 「(ごおぉぉぉぉおおお)あったっしっの産道は新品ですっ」 「こえ〜・・・」 「これはもう何も手を加えることはないな」 「そうですね・・・あとは中のことで細かいところを関口さんと詰めていきます」 「あぁよろしく頼むよ」 「所長・・・・」 「どうした今井君?」 「・・・あの・・・栞ちゃんと・・」 「あぁ・・・そうなんだ・・・・まだはっきりと決まったわけじゃないけど・・・まっそういうことだ」 「すごいお似合いですよ! 本当におめでとうございます」 「所長〜」 「ん?どうした?」 「年の差ってぶっちゃけいくつっすか?」 「あんたまたそんな余計なことを・・・」 「ハハハ、17歳だよ」 「うわぁ・・・・・それもすげぇ・・・やっぱ所長・・・僕超リスペクトっす」 「あんたにそんなこと言われても所長はぜっんぜんありがたくないから」 「なんでですかせんぱい〜」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 早めに仕事は切りあげてナミレスに向かう。 「おいっす。もう終わらせたの?_」 「あぁ・・・まぁゆっくりしないとな」 「いいじゃん親父もうセミリタイアしてもうすぐ迎える新妻と色んなことを・・・」 「冗談じゃないよ〜まだまだこれからガンガン行くぜっ」 「あ〜やだやだ若い彼女と付き合うと自分も若くなったような勘違いするじじいが多いんだから」 「いいんだよっ・・・それより最近ユーサク来た?」 「おうっ今朝も食ってたよ」 「・・・・どんな感じだ?」 「どんなって…普通だけど」 「・・・あいつ怒ってるんじゃないかな・・・」 「なにを?」 「浅海君のことをさ」 「親父に取られたってか?」 「・・・まぁ・・・なんというか」 「だあいじょっ・・・だあいじょぶだぁよ」 「なんだそれ?」 「あいつぁまだ若いんだから次から次へとチャンスがあるから」 「・・・ならいいけど・・」 「親父それよりも・・・前に言ってた…愛奈ちゃんのサインは・・・」 「あ?あれね、俺が倒れて急きょ差し替えになってさ、結局対談は横綱とすることになったんだよ」 「なんでだよっおれはピチピチギャルの裸が好きなんだよっ誰がデブのおっさんなんかの裸見て喜ぶんだよっ」 「別に裸を見て喜んでるわけじゃないし・・・」 「ちぇっ・・・・」 すねるマスターをほっておいて家に帰ると・・・ユーサクはいなかった。 「また友達んとこでも行ったんだろな・・・」 彼女のことが公になってからどうもぎくしゃくして俺達はロクにしゃべっていない。 特に彼女が家に来る時は佳樹のとこに泊まりに行って帰ってこない。 彼女もすごく心配しているが・・・どうしたらいいんだろうなと考える。 ユーサクは結婚に反対なんだろうな・・・あいつが反対するうちは・・・やっぱり結婚はできないと彼女に言おう・・・ ユーサクがいやなら仕方がない・・・ どさり・・・とソファに座ってテーブルを見たら見慣れない箱が置いている。手紙もだ。 ユーサクからだった。 「親父へ 次はこれを使えよ」 なんなんだ? 小さい割にはずっしりと重たい箱を開けてみた・・・・なかには・・・・レンガが入っていて・・・ 「YUSAKU・KENJI・SHIORI」と彫られている。 そして裏面には・・・あいつは・・・知らないはずなのに・・・いつものように 「Dear SAKURA」と彫られていた。 おわり。 佳樹編・・・・いけるのだろうか・・・ |
| << 前記事(2008/10/19) | トップへ | 後記事(2008/10/24)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
笑いあり涙ありの波乗りレストランも、とうとう…淋しいけれど、綺麗な綺麗なラストに正直ホッといたしました(^_^;) |
アホアホグルーピー 2008/10/22 19:37 |
グルーピー様 |
あほあほ管理者 2008/10/24 20:25 |
| << 前記事(2008/10/19) | トップへ | 後記事(2008/10/24)>> |